こんにちは、行政書士の長井です。
行政書士試験の受験を考えている皆さんは、「合格するまでにどのくらいの時間がかかる?」という不安や疑問を持つことがあるかもしれません。実際、私自身も3回目の挑戦で合格しましたが、その間は同じような悩みを持ったことがあります。
そこで今回は、受験生一人ひとりのライフスタイル、もともとの学力、学習環境など、さまざまな要因を考慮しながら、合格に至るまでの期間について、現役の行政書士としての私なりの視点でお話ししたいと思います。
目次
試験概要
行政書士試験は、毎年11月の第2日曜日に実施され、合格率はおよそ10%から13%となっています。これは、毎年約47,000人が受験する人気の高い資格試験の一つです。合格までの試験回数に関しては、正式な統計はありませんが、業界の同僚やSNSの投稿から見ると、多くの人が2回から3回の受験で合格しているようです。
ネットでの情報
インターネット上では、「行政書士試験には1,000時間の勉強が必要」という情報をよく見かけますが、この数字には明確な根拠がなく、勉強時間を一律に「1,000時間」と定めることは適切ではありません。その理由は、受験生のライフスタイルや元々の学力によって必要な勉強量が異なるためです。
また、「3ヶ月で合格する方法」や「初学者でも半年で合格可能」といった見出しを掲げるYouTube動画やブログ記事を見かけることもありますが、これらは多くの場合、閲覧者や視聴者を惹きつけるための誇張表現であり、必ずしも信頼できる情報ではありません。
私自身の受験経験からも、このような根拠のない情報に惑わされることなく、個々の状況に合った学習計画を立てることが重要だと感じています。不確かな情報が行政書士試験の質を低下させる原因にもなりかねないため、情報の発信には慎重であるべきだと思います。
私の経験
私は行政書士試験に合計4回挑戦しましたが、最初は試験の雰囲気を知るための見学受験だったため、実質的には3回目の挑戦で合格を果たしました。その結果、合格までの勉強期間は3年間に及びます。不規則な仕事をしていたため、勉強時間は日によって大きく異なり、1日1時間も勉強できない日があれば、7時間以上勉強できる日もありました。そのため、総勉強時間を正確に把握することはできませんでしたが、インターネット上によく言われる「1,000時間の勉強が必要」という点については、私自身がそれ以上に勉強したことは確かです。この経験からも、必要な勉強時間は個人の状況によって大きく変わることが理解できます。
合格までの期間は個人により異なる
行政書士試験は法律系の入門資格として位置付けられていますが、それでも法律系の国家資格であるため、合格率は約10%と非常に厳しいものです。必要とされる偏差値は62以上と高く、決して容易に合格できる試験ではありません。このような厳しい試験を前に、受験生が必要とする学習時間は大きく個人差があります。
受験生の環境
多くの受験生が社会人であり、仕事をしながら勉強をしていることが多いため、個々の生活環境が大きく影響します。私のように深夜の長距離トラック運転手(プロフィール)から子育て中の主婦、ロースクールの学生まで、受験生は様々な背景を持っています。勉強環境が整っていれば効率的に学習を進めることができますが、集中しにくい環境では学習に時間がかかることもあります。
基礎学力
日頃から読書に慣れ親しんでいる人は、読解力が備わっており問題を読み解くことができる一方で、私のように読書習慣がなかった受験生は学習の初期段階で苦労することがあります。また、以前に宅建などの法律系の学習経験がある人は有利で、そうでない場合は不利になりがちです。
理解力にも個人差があり、この点でも学習に要する時間は変わってきます。元々頭の回転がいい人(地頭がいい人)と、そうでない人では、理解するスピードが異なるため、ここでも学習時間が違ってきます。なお、「行政書士試験で合格するためには地頭は必要か?」と題して、別の記事で投稿していますので、是非、こちらも読んでいただけると幸いです。
これらの要因により、行政書士試験の合格に至るまでの期間は受験生ごとに大きく異なります。一人ひとりの状況に合わせた学習計画を立てることが重要です。
学習時間だけでは合格を断定できない理由
行政書士試験の合格には、学習時間だけではなく、さまざまな要因が絡み合います。特に、「運」の要素は無視できません。以下のポイントから、学習時間だけでは合格を断定できない理由を理解しましょう。
得意・不得意分野の出題
試験で自分の得意分野からの出題があれば、高得点を狙うことができますが、反対に不得意分野が多く出題されると、合格が難しくなる可能性があります。たとえば、私の例で、ある年には苦手としていた「法定地上権」が出題され合格を逃すこともあれば、別の年には、理解していた「第三者弁済」が記述で出題され満点を取ることができ合格できたと場合もあります。
出題傾向の変化
行政書士試験は年によって出題傾向が変わることがあり、その年の出題傾向によっては、合格しやすい年と難しい年が存在します。これは、受験生がコントロールできない外部要因です。
試験当日の状況とその影響
試験当日のさまざまな状況が受験生のパフォーマンスに影響を及ぼし、結果的に合格に至るか否かを左右することがあります。以下に、試験当日に遭遇する可能性のある状況と、それがどのように受験生に影響を与えるかについて説明します。
体調の問題
- 風邪や発熱など、体調不良が集中力や理解力に影響を与え、通常のパフォーマンスを発揮できない可能性があります。
- 体調管理は学習計画と同じくらい重要であり、試験前の健康管理には十分注意を払う必要があります。
試験会場の環境
- 会場の温度が適切でない場合(過度に寒い、暑いなど)、受験生の快適性や集中力に悪影響を及ぼすことがあります。
- 快適な試験環境は受験生のパフォーマンスを最大限に引き出すために重要です。
周囲の受験生の影響
- 隣や周囲の受験生の物音、咳、ペンの音などが気になり、集中力を損なうことがあります。
- このような外的要因に対処するためには、試験対策として集中力を高める練習をするか、試験中に集中を保つためのテクニックを身につけることが有効です。
アドバイス
これらの要素は、受験生がコントロールできない外部環境に起因するものであり、試験の成績に大きく影響を及ぼす可能性があります。そのため、可能な限りこれらの状況に対処する準備をしておくことが重要です。例えば、体調管理に注意を払う、試験会場での適切な服装を選ぶ、集中力を高めるためのリラクゼーション技法を習得するなどが挙げられます。これらの準備は、学習計画や試験対策と同様に、試験成功のためには不可欠です。
下記のカテゴリー一覧ページも参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたか?。
今回は行政書士試験に合格するための学習時間という内容で私なりの意見をお伝えしてみました
一般に言われる「1000時間の学習で合格できる」というのは、あくまで一つの目安であり、実際にはそれぞれの受験生の状況に応じて必要な学習時間は大きく異なります。以下のポイントをまとめます:
- 個々の差異:学習環境、基礎学力、学習の効率性など、個人によって大きく異なる要素が、必要な学習時間に直接影響します。
- 運の要素:学習した内容がどの程度試験に反映されるかは運次第であり、得意な分野が出題されるか、不得意な分野が多く出るかによっても合否が左右されます。
- 試験当日の状況:体調不良や試験会場の環境など、当日に起こる予期せぬ状況も合格に影響を与える可能性があります。
以上のことから、一概に「1000時間勉強すれば合格できる」とは言い切れず、自分自身の状況を正確に把握し、それに基づいた合理的な学習計画を立てることが重要です。それには、自己分析を行い、弱点を克服するための戦略を立て、また、試験当日の不確定要素に柔軟に対応できる心構えを持つことが求められます。
最終的には、一人ひとりの受験生が自分自身にとって最適な学習計画を立て、それを着実に実行に移していくことが、行政書士試験合格への最短の道と言えるでしょう。
学習の過程で直面する挑戦や困難は、皆さんをより強く、そして専門性の高いプロフェッショナルへと成長させるための貴重なステップです。どうか一時的な挫折や困難に心を乱されることなく、目標に向かって着実に前進してください。
夢に向かって一歩一歩進む皆さんを、私は全力で応援しています。頑張ってください!