【現役行政書士が直伝】行政書士の実情「食える」職業かどうかの真実│行政書士試験受験生向け

こんにちは、行政書士の長井です。今回は行政書士試験の受験生の皆さんやこれから行政書士を目指す方々に向けて、行政書士という仕事が本当に「食えるのか?」「食えないのか?」について、私の経験を踏まえてお話しします。このテーマは、ネットでも様々な情報がありますが、あくまでも開業３年目の私が感じた視点で包み隠さずお伝えしてみたいと思います。 １，よくある噂について まず、インターネット上では、「行政書士では食えない」という意見をよく目にしますし、廃業率が9割にも達するという噂もあります。 さらに、行政書士の資格だけでは足りず、例えば社労士などの他の資格も必要だと言われることもあります。更には、行政書士より難易度が増す司法書士や司法試験を目指さなければならない的な情報もあり、不安に感じる方も多いかもしれません。 しかし、実際には収入を得てしっかりと生計を立てている行政書士も多くいますし、中には年収1000万円を超える方もいらっしゃいます。ただ、一方で廃業に追い込まれる行政書士も一定数いることは確かです。 ２，資格はあくまで「許認可」である 行政書士の資格を取得し、事務所を開業したからといってすぐに安定した収入が得られるわけではありません。行政書士の資格取得は、あくまでビジネスを行うための「許認可」を得たに過ぎません。飲食店を例にとれば、食品営業許可を取得して初めてお店を開けるように行政書士も同じです。資格を活かしてビジネスを展開し、実績を積み重ねていくことが大切です。 ３，厳しい市場環境 現在の日本市場では「ないものはない」と言っても過言ではなく、商品やサービスが溢れています。それは行政書士においても同じで、登録者の数をみると「コンビニより多い」地域も存在しているほどです。 さらに、AIなどの技術進化により、従来の仕事がなくなる可能性もあります。私自身もこれらの変化を肌で感じています。 ４，食えない行政書士の特徴 士業の資格さえ取れば「食える」と思って開業した。 行政書士はサービス業でもあるという考え方をもっていない。 自分自身が広告塔であると自覚していない。 コミュニケーション能力が欠落している。 実務の習得から入ろうとする。 コストやリスクばかりが先立ち、挑戦をしない。 という考え方は、そもそもビジネスマインドが欠落しているため、数少ない依頼はあっても、食えるほどの事務所経営はできないでしょう。 ５，食える行政書士になるために 成功するためには、何よりもまず「営業」（ビジネスマインド）としての意識を持つことが大切です。 私たち士業は、まず人と会うこと自体が営業活動といっても過言ではありません。そんな中、専門分野を持ち、ターゲットとなる顧客層にアプローチする方法を徹底的に研究し、実践することが求められます。信頼を得るためには、対応できる知識を備えること、コミュニケーション能力の向上、事務所の環境整備、更には自分自身の見せ方など、細部にわたる配慮が必要です。 また、他の行政書士と差別化を図るためには、自分だけの「らしさ」を見つけ、それを強みにしていくことが重要です。例えば、私は、外国人の在留資格の申請を専門としています。顧客の多くは飲食店の経営者です。なぜなら、私は以前に飲食店を経営していた経験があるため、その経営者の立場に立った考え方ができるからです。このような顧客からは、「経営者自身の在留資格の申請」「食品営業許可」「法人設立」「母国から従業員の呼寄せ」「雇用契約書の作成」「新店の相談」「政策金融公庫の融資」と様々な業務が繋がり、その分野で深い知識と経験を持つことでクライアントからの信頼を得ています。 よくありがちな「依頼が来たら全部やる行政書士」ではなく、あらかじめ自分が得意なターゲット顧客層を定め、その顧客層が何を必要としているか？という点を見出すことで提供できる業務が決まってきます。 さらに、人とのつながりを大切にすることも欠かせません。直接的なビジネスにつながらない場合もありますが、多くの人脈を築くことで、間接的（紹介）にビジネスチャンスが舞い込むこともあります。そのためには、名刺交換や年賀状の送付、情報提供などを通じて、定期的にコンタクトを取り続けることが大切です。 まとめ 行政書士としての生計を立てるためには、単に資格を持っているだけでは不十分です。行政書士に限らず、あらゆる市場は厳しく、成功するためには以下の点が重要です。 専門性の磨きと継続的な学習： 専門分野を限定し、常に最新の情報を学び続けることで、クライアントのニーズに応えることができます。 営業としての意識 人と会うことを営業の機会と捉え、積極的に人脈を築き、定期的に関係を維持します。 差別化 自分だけの「らしさ」を見つけ、他の行政書士との差別化を図ることが重要です。 クライアントへの価値提供 信頼される行政書士となるためには、問題解決能力やコミュニケーションスキルを高め、クライアントに対して明確な価値を提供することが求められます。 行政書士として食えるかどうかは、これらの努力と取り組みによって大きく左右されます。 大事なのは、 「行政書士資格は食えるか食えないか？」ではなく「行政書士ビジネスで食うか食わないか？」という視点です。 行政書士を目指す皆さん、また現在活動中の行政書士の皆さん、日本社会においては、行政書士に限らず、あらゆるビジネスにおいて食うことは必死なのです。 それでも、あなたの行政書士としての挑戦は、その一歩一歩には大きな価値があるのです。 信じて、諦めずに前進しましょう！あなたの成功を心から応援しています。