こんにちは、行政書士の長井です。今日は、行政書士試験を目指す受験生の皆さんに、効果的な学習計画の立て方についてお話しします。行政書士試験は年に一度しか実施されないため、試験日まで続けられる実行可能な計画を立てることが大切です。多くの受験生が仕事をしながら勉強していることから、各自の生活スタイルに合わせた計画を立てなければなりません。受験生の皆さんの学習環境はそれぞれ異なるかもしれませんが、私が合格した際の学習計画も踏まえて、皆さんに役立つ情報を共有したいと思います。
目次
1,私が合格した年の学習計画
まずはじめに、私の経験から紹介してみます。
私は実際に3回目の挑戦で行政書士試験に合格しました。最初の年は、このような国家資格試験の勉強経験がなく、計画性を欠いた「今日はなにしようかな・・・」と、まったく無計画な状態でした。。この無計画なアプローチを反省し、2回目の試験では学習計画を立てましたが、計画に力が入りすぎて実行に移すことはほとんどできませんでした。しかし、合格した年はこれまでの反省を踏まえ、学習計画を一新し、「自分だけの合格ノート」を作成しました。このノートは「無理なく均等に、かつ学習記録が見える化される」ことを目標にしたものです。
この合格ノートを常に携帯し、いつでも学習進捗を確認できるようにしたことで、大きな効果を得ることができました。具体的には、次の3つの利点がありました。
- 学習の進行状況が把握できる
- 勉強を日常のルーティンに組み込むことができる。
- 頑張った証としての達成感と自信を得られる。
このノートは私にとって、ただの学習計画を超えた意味を持っており、今も大切にしています。
2,目的の明確化
行政書士試験に合格することを目指すにあたり、ただ漠然と学習計画を立てるのでは十分ではありません。真の目的は、言うまでもなく行政書士試験の合格です。ここで注意すべき点は、単に学習活動をこなすための計画を立てるのではなく、合格を実現するための具体的な戦略を練ることが重要です。
つまり、自己満足に終わる「形式的な学習計画」ではなく、「合格に直結する学習計画」を意識して策定することの大切さを忘れないでください。
3,準備するもの
学習計画の作成にあたって、人それぞれ好みがあるかと思いますが、個人的にはオンラインのカレンダーよりも実際に手書きできる市販のスケジュール帳を使用することを推奨します。オンラインのカレンダーでは記録の漏れが生じやすかったり、全体像が掴みにくかったり、学習の達成感が薄れがちな点がデメリットとして挙げられます。一方で、高価なスケジュール帳を用意する必要はありません。私自身、100円ショップで購入した手頃なスケジュール帳を利用していました。
さらに、2色のマーカーを準備すると学習の進捗管理がしやすくなります。例えば、学習目標を達成した項目は青色で、未達成の項目は赤色でマーキングすると、一目で自分の学習状況を確認できるようになります。
4,学習計画を期間ごとに立てる
行政書士試験は毎年11月の第二日曜日に行われます。学習開始時期は個人によって異なりますが、1月から計画をスタートする場合の例を紹介します。それぞれの学習進度に合わせて作成してみてください。
年間計画
- 初学者向け: 1月から5月までを学習のインプット期間とし、基礎知識の習得に集中する。6月から8月は過去問集で答練期間とし、9月は答練と模擬試験を組み合わせ、10月は苦手分野の克服に専念し、11月の試験日までの約10日間で主要科目の総復習を行う。
- 経験者向け: 答練を中心とした1年となるため、1~2月で1回転目、3~4月で2回転目、5~6月で3回転目を実施。7月には弱点を補強し、8月には4回転目、9月に模擬試験、10月に再度弱点補強を行い、試験直前の10日間で全科目の確認をする。
月単位の計画
月ごとに具体的な目標を設定します。「今月は行政法の地方自治法をマスターする」「肢別過去問の民法を1周する」など、目標を明確にしましょう。ここで注意が必要なのが、ある特定の分野だけに偏った学習をしないということです。「〇〇科目の△△分野を重点的に学習しながら、他の科目もまんべんなく学習する」ことが重要です。
週単位の計画
週単位の場合、受験生それぞれのライフスタイルが影響するため、ここでは土日が休日という設定で解説します。
まず、月単位と同じように例えば「今週は〇〇ページから△△ページまで」「地方自治法の住民監査請求・住民訴訟の講義を受講」と、1週間の目標を設定をしましょう。できれば月~金までで目標を達成し、土日をこの週の復習にあてるのがベストです。
更に効果的なのが「繰り返し学習」に関して、例えば月火を1回目、水木を2回目、金曜日に休憩し、土曜日を3回目、日曜日に確認、といった学習が効果的です。なお、この繰り返し学習については「知識を定着させる方法」の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
日単位の計画
まず、その1日で学習にあてることのできる時間を考えてみてください。ちなみに、できれば仕事からの帰宅後より出社前の早朝の学習が効果的です。この学習する時間帯については「効果的な学習時間帯」という記事でも解説していますので、是非、参考にしてみてください。
1日の総学習時間を3時間(180分)とするならば、出社前の早朝に90分、通勤などのスキマ時間で30分、帰宅後の1時間という設定になります。なお、就寝前の学習は、新たな学習を行うより、今日1日の復習で締めくくることをお勧めします。これは睡眠と学習の関係で、1日の終わりに新しいことのインプットはあまり効果的ではなく、今日1日行った復習をしてからの就寝が効果を発揮します。
なお、睡眠は学習に大きく影響します。私の経験も含め記事として公開していますので、行政書士試験の受験生の方は、ぜひ参考にしてみてください。
5,学習計画を立てる上での注意点
1週間のお試し期間
学習計画を立てる際は、最初の1週間をお試し期間として設定しましょう。この期間に実際に計画を試してみることで、自分にとって最適な学習ペースや1日に割ける学習時間が明確になります。この1週間をもとに、その後の計画を調整しましょう。
無理のない計画を立てる
行政書士試験の合格を目指す学習計画を立てる時、私が2年目に経験したように、過度にハードな計画は避け、実行可能な範囲で計画を立てましょう。無理な計画は途中で挫折する可能性が高く、かといってあまりに緩やかな計画では行政書士試験の合格が難しくなります。達成には努力が必要ながらも、無理なく続けられる計画が理想なので、「少し頑張らないと達成できないぐらいの計画」が理想です。
休日の設定
行政書士試験は科目も多く出題範囲も広いですよね。いくら合格したいからといって休みなしに根詰めて1年間を学習にあてることは逆に不効率にもなりかねません。また、休日なしの学習を続けることで、モチベーションが低下し、勉強が苦痛になり、受験を諦めてしまうという結果にもなりかねません。直前期は別として、それまでの期間は10日に1回程度でもよいので休日を設けてみましょう。
6,学習計画の実践
記録の可視化
自分が立てた学習計画に対して、その記録を残していくことも重要です。ただし、あれこれコメントを書き込んだりはせずに、2色のマーカーで達成と未達成を引いていくだけでOKです。それを行うことで、期間ごとに振り返ることができます。
振り返る
月ごと、週ごと、1日ごとに学習記録を振り返ることも忘れないようにしてください。特に反省文を書いたりする必要はありませんが、ノートの余白に「行政法の過去問答練全部やり切った!目標達成!」「今月は私用が多く勉強時間の確保できずに目標達成できず。来月は今月の分までがんばる!」これぐらいのコメントを書き残しておきましょう。
途中での変更
1度学習計画を立てたからといって、必ずしも変更ができないというわけではありません。「少し無理がありすぎた」「まだ余裕がある」といった場合には、実際の進捗状況や自身の状態に応じて、柔軟に計画を修正しましょう。無理なく続けられる計画への調整が、長期的な学習継続の鍵となります。
本試験直前にすること
試験当日の試験開始直前には、自分が1年間がんばってきたことの記録である、この学習計画ノートを見て試験に臨みましょう。1年間の努力を見直すことで、自信を持って試験に臨むことができます。それは、本試験でもっとも重要な勇気と自信に繋がります。
まとめ
いかがでしたか。
今回は「学習計画の立て方」について、私が行政書士試験に合格した年の経験を基に解説してみました。
行政書士試験の受験生はそれぞれ異なる仕事や家庭環境を持っているため、自分のライフスタイルに合った学習計画を立ててみてください。
学習計画を立てる際には、単に学習活動をこなすための計画ではなく、試験に合格するための具体的な目標と戦略を持つことが大切です。
また、学習計画ノートは、受験生にとって合格までを共に歩む大切なパートナーでもあります。私自身も「合格ノート」を一生の宝物として大切にしており、行政書士となった今でもこの合格ノートがモチベーションを高めてくれています。
行政書士試験の受験生の皆さんが、合格に向けて効果的な学習計画を立て、実践していくことを心から願っています。日頃の勉強は大変ですが、諦めずに一歩ずつ前進していってください。
あなたの努力が報われる日を楽しみにしています。