【初学者必見】行政書士試験の民法の学力をUPさせる方法

【初学者必見】行政書士試験の民法の学力をUPさせる方法

2024年2月23日

行政書士試験に挑む皆さん、民法の勉強はいかがですか?
民法は試験での択一問題が多く出される上、記述問題も2問あり、合格には欠かせない重要な分野です。
しかし、民法は難解で理解が進みにくいと感じる人も多いでしょう。そこで、多くの受験生が苦手とする民法を、より面白く、かつ効果的に学べる方法を、私が現役の行政書士としてお伝えします。

1,民法の出題内容と配点

まず、基本的なことで民法の出題内容を見てみましょう。

出題範囲

【民法総則】
・序論・人(権利の主体)・法人(権利の主体)・物・法律行為・意思表示・代理・無効・取消し・条件・期限・時効
【物権】
・物権総則・物権変動(総論)・不動産物権変動・動産物権変動・占有権・所有権・用益物権(地上権・永小作権・地役権)
【担保物権】
・担保物権総論・留置権・先取特権・質権・抵当権
【債権総論】
債権の意義と目的・債務不履行・責任財産の保全・多数当事者の債権・債務関係・債権譲渡と債権引受・債権の消滅
【債権各論】
契約総論・贈与・売買・消費貸借・使用貸借・賃貸借・請負・その他の契約・不法行為
【親族】
親族法総論・総則(親族)・婚姻・離婚・親子
【相続】
総則・相続人・相続の効力・相続の承認と放棄・遺言・遺留分

範囲も広く、更には出題される問題は簡単に解けるものではありませんよね。
そして、試験での民法の配点を見てみると

5肢択一式40問中9問36点
多肢選択式3問中0問0点
記述式3問中2問40点
合計11問76点
民法分野の配点表

民法のみでの配点は合計で76点となっており、試験全体の約25%を占めています。行政書士試験の合格ラインは60%となっているため、民法の占める割合はかなり高く、民法で点が取れなければ合格できないと言って過言ではありません。

2,私の民法学習方法

解説をはじめる前に、私の受験生時代の民法の学習への取り組み方からお話ししてみます。

私は比較的に民法を苦手と感じることはありませんでした。むしろ面白いと感じていたほどです。なので、模擬テストでも本試験でも民法で点数を稼いでいたとも言えます。

では、なぜ私が民法分野で面白いと感じることができたのか。それは過去の自分の出来事を、問題にあてはめて理解していったからです。
例えば、私は以前飲食店を経営していたのですが、6年目にして廃業し、その後、多額の借金が残ってしまいました。もちろん連帯保証人も付けていた債務もあったため、その当時は、連帯保証人に迷惑をかけてしまったことを実体験しました。そして、経済的に苦しい時期でもあったため無知だった私は違法行為に近いような考えをしていたことがあったことも事実です。そのような過去の自分を照らし合わせながら民法の勉強を進めていくと、「あの考えは結局のところ違法だったのか」(詐害行為取消権など)そんな風に理解していくことができました。

また、ある時はお金に困って質屋を利用したこともあります。そうです!ここで質権が出てきたり、「あの時借りたお金の時効って?」ここで時効が出てきたりと、身の回りで起こっていた出来事がそのまま参考事例となっていました。

更には、私が小学生の頃に住んでいた一戸建て住宅に抵当権が設定されていたらしく、その返済が滞り、差し押さえ、更には抵当権実行という事態にまで陥り、その後は賃貸アパートへ引っ越したということもありました。

ここまで記事にするとさすがに恥ずかしい気もしますが・・・

このようにして民法分野の学習の大半は、自分の過去にあった実際の話とかぶっていたから、面白いとまで感じるようになれたのです。
ただ、例外的に「法定地上権」だけは、繰り返し勉強してもまったく理解できなかったため、この分野だけは捨てると決めて試験に臨んでいました。

3,民法を深く理解するための効果的な学習方法

インプットだけでは限界がある

民法の勉強において、ただ講義を聞いたり、参考書を読むだけでは、知識の定着には限界があります。実際に問題を解く過程で遭遇する様々なケースを通じて、理論を実践に結びつけることが大切です。講義やテキストの内容を理解することも重要ですが、それらを自分のものにするには、積極的に問題演習に取り組み、自ら答えを導き出す過程を重ねることが不可欠です。

自分の周りの人間を登場させる

民法を学ぶ際、理解が進まない複雑な部分に遭遇したときは、自分や周囲の人物を事例に置き換えてみることをお勧めします。これは、抽象的な法律用語や概念を、実際の生活の中で起こり得る具体的なシチュエーションに落とし込むことで、理解を深める効果があります。

たとえば、無権代理の概念を理解するために、「俺が父親から任せられていないのに父親の印鑑証明を勝手取って相手方と契約をしたら、俺どうなる?」(無権代理)「じいちゃんが1000万残して死んだら、ばあちゃんは500万でうちの親父は250万、おばさんは250万か・・・」(法定相続分)という風に、できる限り自分の身近な存在の人間を登場させます。このようにリアルな登場人物に置き換えることで、より深く理解できるようになります。

図にすることの大切さ

法律の条文や概念をテキストで読むだけでは、その関係性や流れが頭の中で整理しづらい場合があります。そうしたときに図式化することで、関係者間の立場や法律の適用の流れを視覚的に捉えることができ、理解が格段に深まります。

書き方を解説した図
民法の登場人物とその関係性を示した図

私自身も学習中には、様々な法律関係を図式化し、それを見返すことで理解を定着させていました。この方法は、特に複雑な相続関係や契約関係を理解する際に非常に有効です。

常識的な観点で問題を読む

法律とは、基本的に人間社会の公平性や正義を保つためのルールです。そのため、民法の問題を解く際には、「この規定はどのような公平性を実現するためのものか?」という観点を持つことが重要です。

例えば債権債務の問題がわかりやすいのですが、AがBに金を貸しCが連帯保証人となっていた場合、一番損害を受けやすいAの債権が真っ先に保護されなければなりませんよね。その債権を保護するためにCという連帯保証人がいますが、「AからしてみるとCが連帯保証人でいるからBにお金を貸す」ということなので、そのCが「検索の抗弁権」やら「催告の抗弁権」と言い出されてもAの債権は保護されないことになってしまいます。
このように、「公平かつ平等」という観点で民法の学習を進めることが重要です。

民法は覚える学習ではない

民法の学習は、単に条文や判例を暗記することではありません。むしろ、様々なケースを通じてその背後にある法理や原則を理解し、それらを具体的な問題解決に応用できる能力を養うことが求められます。これが法的思考力です。

繰り返しの問題演習を通じて、初めは難しく感じる概念や用語も、実際のケーススタディを解く過程で徐々に理解が深まります。この過程で、「詐害行為取消権」「利益相反行為」「物上代位」といった民法特有の専門用語も自然と身についていきます。

問題演習はただ解くだけでなく、なぜその解答になるのか、その法理はどのような場合に適用されるのかを深く考えることが重要です。

最終的に、民法の学習は、単なる試験対策を超え、日常生活においても役立つ知識として、また社会で生じる様々な問題に対して法的な視点からアプローチできる力を養うことにつながります。そのためには、興味を持って、積極的に学ぶ姿勢が何よりも大切です。

まとめ

行政書士試験に挑む皆さんにとって、民法は確かに難しい分野かもしれませんが、決して遠い存在ではありません。日常生活の中で自然と接する機会も多く、私たちの権利や義務に直結しています。このことを踏まえると、自分自身や身近な人々の体験を民法の学習に活かすことが、理解を深め、興味を引き出す鍵となります。

具体的には、複雑な条文や理論を、自分の経験や周囲の出来事に置き換えて考えることが、知識の定着に役立ちます。また、視覚的に理解を助けるために、関係性や流れを図にすることも忘れないでください。そして、問題演習を繰り返し行うことで、徐々に民法の構造や論点が明確になり、得点力を高めることができるでしょう。

この記事が、皆さんの学習の一助となり、勉強を続けるモチベーションの源となれば幸いです。それでは引き続き、勉強がんばってください!